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?C例えば、比較的容易に考えられるのが、入力されたデータを再度確認する画面を送り、入力した者に自己の表示した意思の内容である入力データを確認させるという方法である。この方法は、現実にも一度画面で確認されたデータを再度送信したのであれば、2回誤った操作を行っていることになり、余程特殊な操作を要求する例外的な場合を除き、表意者(利用者)に重過失があると推定することは比較的容易であると思われる。この他にも、一定額以上についてはデジタル署名を求めたり、クレジット番号の再入力を行うなどの措置を求めるなどの方法も考えられる。こうした具体的な商慣行の形成を図り、電子商取引上の「社会通念上の重過失と認められる」基準の形成を図っていく必要がある。

 

(4)無権限者による取引

●「成り済まし発注」を回避する仕組みが必要なのではないか(個人認証)

?@日本の民法では、無権限者が代理行為をした場合の規定があり「代理権の有せざる者が他人の代理人として為したる契約は効力を生じない。」ということになっている。

 

(参考)

民法第113条(無権代理)

…?@代理権を有せざる者は他人の代理人として為したる契約は本人がその追認を為すに非ざれば之に対して其効力を生ぜず。

?A追認又は其拒絶は相手方に対して之を為すに非ざれば之を以て其相手方に対抗することを得ず。但し相手方がその事実を知りたるときは之限に在らず。

 

?A一方、電子商取引においては、例えばAさんがBさんのパスワードを盗みBさんが行ったものと全く同じ方式で発信するなどネットワーク上において他人になりすますということが技術的に可能となり、また受信者はどのような方法を用いても本人でないということを確認できないということもありえるため、本人が意思表示していないにもかかわらず、本人に行った契約として成立する可能性が出てくる。

 

 

 

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